家と財産を守るための〜不動産の相続対策
家と財産を守るための〜不動産の相続対策
文書作成日:2022/05/20


 所有する土地が大深度地下使用法の適用を受ける場合、相続税評価額の算定において軽減措置はありますか?




 私が東京郊外に所有する土地の地下深くに高速道路のトンネルが通ることになっていますが、事業者からは『大深度地下の公共的使用に関する特別措置法(以下、大深度地下使用法)』の適用対象となるため、補償は行わないといわれています。そうなると、将来的に相続が発生した場合の相続税評価においても、何らかの軽減措置が講じられることはないのでしょうか。




 土地の相続税評価額の計算上、『大深度地下使用法』の適用対象となることをもって何らか軽減される措置は、現状用意されておりません。




1.土地の所有権の及ぶ範囲
 土地の所有権の及ぶ範囲について、民法第207条では「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定されています。

 したがって、高速道路や鉄道の地下トンネルなどの工作物を他人の土地の地上ないし地下に設置する場合、その土地所有者の承諾を得る必要があります。民法第269条の2では、「地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる」としており、この権利を「区分地上権」といいます。

 また、区分地上権を設定する場合、「設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる」とされています。具体的には、地下にトンネルなどの工作物を設置するような場合、地上建物の荷重制限や地下室の設置ができないといったような制限です。例えば、本来は地上8階地下2階建の建物が建築できる土地であるのに、区分地上権の設定により地上5階地下1階建の建物しか建築できない、といったケースがこれに該当します。

2.区分地上権の評価方法

 区分地上権について相続税評価額を算定するにあたり、その評価方法は財産評価基本通達27-4で以下のとおり定められています。具体的には、土地の利用が阻害される程度に応じた価値の減分を反映した評価方法が取り入れられています。

(区分地上権の評価)
27−4 区分地上権の価額は、その区分地上権の目的となっている宅地の自用地としての価額に、その区分地上権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権の割合」という。)を乗じて計算した金額によって評価する。
 この場合において、地下鉄等のずい道の所有を目的として設定した区分地上権を評価するときにおける区分地上権の割合は、100分の30とすることができるものとする。
3.大深度地下使用法の適用を受ける土地

 一方、『大深度地下使用法』という法律では、土地所有者による通常の利用が行われない大深度地下空間に使用権を設定するための要件・手続等が定められており、公共の利益となる一定の事業を行う場合、国や地方公共団体の認可を受ければ、土地所有者の同意を得ずに当該大深度地下空間を使用することができるとされています。

 具体的な要件等は以下のとおりです。

  • 大深度地下の定義(次のうち、いずれか深い方の地下)
    • (1)地表から40メートル(地下室の建設のための利用が通常行われない深さ)
    • (2)支持基盤の最も浅い部分の深さに10メートルを加えた深さ
  • 対象地域
    • (1)首都圏の既成市街地又は近郊整備地帯の区域内の市区町村
    • (2)近畿圏の規制都市区域又は近郊整備区域内の市町村
    • (3)中部圏の都市整備区域内の市町村
  • 対象事業
    • 道路事業、河川事業、鉄道事業、電気通信事業、電気事業、ガス事業、水道・下水道事業等

 大深度地下空間は、土地所有者による通常の利用が行われない空間であり、利用が制限されても実質的な損失が生じないことから、公的な使用権の設定を土地所有権に優先させるという考え方に基づいています。例外規定として、具体的な損失が生じた場合には、大深度地下使用認可の告示の日から1年以内に限り補償を請求できる、とされていますが、それ以外に補償を請求できるケースは規定されていません。

4.大深度地下使用法の適用を受ける土地の評価方法

 上記3.の考え方を反映してか、大深度地下使用法の適用を受ける土地について、財産評価基本通達において特段の評価方法は定められていません。したがってご相談のケースでは、『大深度地下使用法』の適用対象となることをもって、何らかの軽減がされることはないと考えます。

 土地の相続税評価額に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。


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