トラブルにならないための〜法律の相続対策
トラブルにならないための〜法律の相続対策
文書作成日:2018/03/20


 今回は相談事例を通じて、胎児の相続権についての考え方と、未成年者が法律行為を行う際の決まりについてご紹介します。



 この度母が亡くなりました。父は5年前に亡くなっています。私には兄がいましたが、兄も母が亡くなる2ヶ月前に亡くなっています。兄には3歳の子供がおり、現在兄嫁は妊娠もしています。母の相続について、誰が相続人になり、どんな手続きが必要でしょうか。




 お母様の相続について、相続人は、相談者の方と、亡お兄さんの3歳のお子様、兄嫁さんの胎内に宿っているお兄さんの子(胎児)の3人となります。相続手続としては、未成年のお子様には法定代理人が必要となりますが、兄嫁さんは子2名の法定代理人にはなれません。お子様1名に対して特別代理人を選任してもらい、相談者の方と法定代理人の兄嫁さん、特別代理人の方で遺産分割協議を行うことになります。




 胎児は代襲相続人となります。胎児は、相続については、既に生まれたものとみなします(民法886条1項)。時が経てばこの世に生を受けることが分かっているのに、たまたま胎児の時に相続が発生したため相続人にならないというのは、血縁関係に起因する法定相続の思想を害するためです。  

 また、遺産分割協議の時期については、胎児の出生を待ってから遺産分割協議を行うことになります。胎児の時点で相続人になる訳ではありません。「既に生まれたものとみなす」というのは、胎児が生きて生まれたときに、相続開始時にさかのぼって相続したものと認めるものですので、胎児が死亡して生まれてきたときには適用されません(民法886条2項)。  

 日本の民法では、満20歳に満たない人を未成年者と定めています(民法4条)。そして、未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない(民法5条1項)とされています。
 そのため、今回のケースは、子の親権者である兄嫁さんが法定代理人として遺産分割協議に参加することになります。  

 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為(利益相反行為)については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければなりません(民法826条2項)。
 親権者である兄嫁さんは子2名の法定代理人にはなれませんので、お子様お2人の内、お1人に対しては特別代理人を選任してもらうことが必要となるのです。


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